来年春入社以降の採用活動から、新卒・既卒、国籍を問わずいつでも応募できる通年採用に移行するカジュアル衣料チェーンのユニクロが3日、東京・赤坂の東京ミッドタウンホールで入社希望者向け会社説明会「ユニクロ希望塾」を開いた。通年採用制度は大学1年生でも事実上の「内々定」を得ることができるだけに、関係者からは賛否両論が出ている。
この動きは賛否両論あるだろうと思う。記事から引用し、ちょっとだけ考えてみよう。
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適性検査を経た後、インターンシップか数カ月のアルバイトを経験。そこで評価が高ければ、いつでも最終面接に進める「パスポート」がもらえる。1、2年生でも最終面接に受かれば「内々定」扱いとなる。
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まず、これ。適性検査はある程度簡単にパスできるかもしれないが、数ヶ月のアルバイトこれが相当に困難だと思う。
記事を注意深く読めば、ユニクロで数ヶ月アルバイトをすればそれだけで最終面接へのパスポートが手に入るわけではない。あくまで「評価が高ければ」という但し書きがある。
ユニクロで買い物をしたことある方ならばご存じだろうが、ユニクロのスタッフの平均的な接客レベルは非常に高い。一応長年接客業を生業としてきた人間からみても、心地よいすがすがしい接客ができる人が多い(全て、とは言い切れない)。
当然、そういう人たちにもまれながら仕事を続けなければならない。評価もどうようの視点から下されるだろう。
おそらくこの段階で接客特性というか、そういうスキルがない人は大半ふるい落とされる。
大きな声で言うことかどうかはわからないが、個人的にはユニクロのスタッフであり続けられる人は、ユニクロの理念に共感でき、意欲的に接客が行え、衣服に関心が少し以上ある、というタイプだろう。そうでない人がああいう仕事についても最終的には不幸になるだけだろう。
少なくともアルバイトの段階で、「あぁ、ここ無理だ」と分かることは学生的にも良いことなのではないかと思う。もちろん、「ここで、働きたい」という人は大学生活中に英語の勉強や経済や流通の勉強に関心を持つだろう。漠然とした4年間は過ごさない(と思う)。
印象的なのが、次の大学生の二人の声だ。
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説明会に参加した拓殖大1年の阿部雄哉さん(19)は「自分はユニクロに就職したいという気持ちが既に決まっている。いい制度ができた」と歓迎。早稲田大1年の土屋芽以さん(19)は「就職活動は厳しい状況なので早めに動きたい」と話していた。
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真逆とは言わないが、温度差の感じられるコメントである。まあ記事作成者が意図的にチョイスしたのだろう。
目を輝かせながら、「ここで働きたい」と思う人にとってはありがたい制度だろう。その理念が最後まで続くにせよ、働く中で変わるにせよ、インターンで現場を体験するのは非常に良いことだ。特にユニクロみたいなところは、全体の中でも店舗に関わる人は今後相当増えてくるだろうし、現場の空気を知った上で、「ここで働くかどうか」を決められるのはクーリングオフ制度みたいなものである。
逆に、そういう理念なしに「就職しなければ」と考えている人にとっては、単なる就職活動の早期化でしかない。これでは学業に差し支える、と言われても仕方ない。
ここら辺に差が眠っているのだ。
しかし、現状の形がどうあれ、長期的に考えれば、現在の日本の形骸化している(ような気がする)インターンシップではなくて、実際に職場で働いてみてから、「ここで働きたい」と決められる形が学生に提供されているのが良いと思う。これについてはまた別の機会に書くとしよう。
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一方でこの制度は究極の「青田買い」であり、在学中に仕事を覚えさせることには「学業の妨げになる」といった批判も根強い。
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就職活動の早期化というのが問題になるとしても、在学中に仕事を覚えさせること」はまったく学業の妨げにはならないと思う。そもそもアルバイトしていれば、何かしら仕事を覚える事柄は発生するのだ。それとも学生はアルバイトすべきではない、とでも言うのだろうが。
あと、もう一つ言えることは、「社会人になってみて、もっと勉強しておきたかった」という人が多いことだ。実際会社を辞めて大学に入りなおす人もいる。その気持ちはよく分かる。社会に出て、責任ある仕事を回すようになってくると、自分の知識のなさが痛感される。「もっと、勉強しておきたかった」と思うのだ。そう真摯に思えたとき、人の心はよりよく学べるようになる。
もし、就職すること(つまり内定をもらえること)をゴールだと捉えている学生は、大学の授業も卒業できる程度、ぐらいしかしないだろう。
しかし、どこかの会社にポジションを持つことをスタートと考えている人間は、きっといろいろなことをどん欲に学ぶ。それは単純に学業に邁進する、ということだけを含むものではない。言い換えれば目つきが変わる、ということだ。
そういう擬似的に社会に身を置くというのは、大学生活にとっても良いことではないかと思う。
それに、ユニクロの内定もらったから、あとは大学生活適当に暮らそう、と思う人はきっと面接そのものをパスできないような気がする。この辺は私の勝手な印象にすぎないが。
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リクルートエージェントの海老原嗣生フェローは「優秀な上に実務で鍛えられた学生なら、いくらでも人気企業に合格できる。引き止めに手間取るだろう」とデメリットも指摘する。
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この場合の「優秀」が一体何を意味しているのかが私にはわからないので、これが正しいのかどうかはわからない。確かに実務で鍛えられた学生は、企業受けが良いだろう。それはユニクロに限ったことではない。アルバイトにもいろいろあるから、それに近い現場体験ができるアルバイトやNPO活動などいろいろあるだろう。
ようはこういうことだろう。ユニクロが内々定を出すのは、「学業ができて、人当たりも良く、知識も豊富・・・」といった「優秀さ」を持つ学生なのか、それとも「この人はユニクロの理念と同じ方向を向いてくれる」という学生なのか。これがどちらかで他の企業の動きは変わってくるだろう。
前者のような学生なら、他の企業に勤める可能性がある。その学生にとっては「別にユニクロである必要性」はどこにもない。しかし、後者の場合は「ユニクロという企業ではないとダメ」という気持ちがあるだろう。こういうのは他の企業に引き抜くのって難しい気がする。
正直言って会社の面接程度で「御社の理念にうんぬん」と言うことは誰にでもできる。でも、数ヶ月間実際の店舗で働くと、そいうのはすぐにぼろがでる。逆もまたしかりで、スタッフとして働くことで、企業が社員をどのように扱っているのかを垣間見ることもできる。私はとある業界の社員にはぜったいならない、と頑なに誓っているが、それも「どのような扱いを受けているか」を知っているからだ。
ユニクロのこの動きは、確実にその他の企業にも波及するだろう。その波及がもたらすモノが良いものになるのか、ならないのかは私にはわからない。ある意味では企業の採用の制度と、学生の何かが問われているのだとも言える。
しかしながら、ユニクロのような実際の店舗を持つ企業の場合であれば、アルバイトで働いてもらって、お互いを確認して合ってから、じゃあ採用を決めましょう、というのはすごくまっとうな気がする。すくなくとも、会社のブランド名だけに惹かれて、就職してみたものの、「こんなはずじゃなかった・・・」が多数発生することに比べれば、ずいぶんマシな気がする。